Kaby Lake-G搭載NUC「Hades Canyon」の上位モデル「NUC8i7HVK」
 2018年5月、IntelのCPUにRadeonを組み合わせた“Kaby Lake-G”を搭載し、VR対応を謳う最新NUC「Hades Canyon」が登場した。
 今回、そのHades Canyonの最上位モデルである「NUC8i7HVK」を借用する機会が得られたので、ベンチマークテストでVR対応NUCの実力を探ってみた。
Kaby Lake-G搭載NUC「Hades Canyon」
 今回テストするNUC8i7HVKは、現在2モデルが登場しているKaby Lake-G搭載NUC「Hades Canyon」の上位モデルで、CPUに「Intel Core i7-8809G Processor with Radeon RX Vega M GH graphics」(以下Core i7-8809G)を搭載している。国内での実売価格は12.5万円前後。

Hades Canyonの製品ラインナップ

製品名

NUC8i7HVK

NUC8i7HNK

CPU

Core i7-8809G

Core i7-8705G

GPU

Radeon RX Vega M GH

Radeon RX Vega M GL

iGPU

Intel HD Graphics 630

対応メモリ

DDR4 SO-DIMM (2スロット)

対応SSD

M.2 SSD (SATA/PCIe)

実売価格

125,000円前後

102,000円前後
 Hades Canyonが採用するKaby Lake-Gとは、Kaby LakeアーキテクチャベースのCPUと、VegaアーキテクチャベースのGPU「Radeon RX Vega M」、そしてRadeon用のVRAMとしてHBM2メモリを、1つのパッケージに実装したCPUだ。
 NUC8i7HVKが搭載するCore i7-8809Gは、5モデルが存在するKaby Lake-Gの最上位モデルであり、4コア/8スレッドCPU、Radeon RX Vega M GH Graphics、204.8GB/sの帯域幅を持つHBM2メモリが実装されている。

Kaby Lake Gの主なスペック

モデルナンバー

i7-8809G

i7-8709G

i7-8706G

i7-8705G

i5-8305G

コア数

4

スレッド数

8

L3キャッシュ

8 MB

6 MB

ベースクロック

3.1 GHz

3.1 GHz

3.1 GHz

3.1 GHz

2.8 GHz

ブーストクロック

4.2 GHz

4.1 GHz

4.1 GHz

4.1 GHz

3.8 GHz

CPU内蔵GPU

Intel HD Graphics 630

GPU

Radeon RX Vega M GH Graphics

Radeon RX Vega M GL Graphics

コンピュートユニット

24 基

20 基

ストリームプロセッサ

1,536 基

1,280 基

GPUベースクロック

1,063 MHz

931 MHz

GPU最大クロック

1,190 MHz

1,011 MHz

VRAM

4GB HBM2

メモリバス幅(VRAM)

1,024 bit

メモリ帯域幅(VRAM)

204.8 GB/sec

179.2 GB/sec

対応メモリ

DDR4-2400 (2ch)

TDP

100 W

65 W
Core i7-8809GのCPU-Z実行画面
Radeon RX Vega M GH GraphicsのGPU-Z実行画面。同じパッケージに実装されているが、Radeonは外付けGPUであり、CPUとはPCI Express 3.0 x8で接続されている
Intel HD Graphics 630のGPU-Z実行画面。CPUに統合されているGPUも有効化されており、ハードウェアエンコーダなどが利用できる
NUC8i7HVKのハードウェアをチェック
 Hades Canyonの筐体サイズは221×142×39mm(幅×奥行き×高さ)。本体底面に2基のブロアファンを備えており、底面から背面へと抜けるエアフローによって、TDPが100Wに達するKaby Lake-Gを冷却する。
 背面パネルにはThunderbolt 3やUSB 3.1 Gen 2をはじめとする多数のインターフェイスを備え、前面パネルには、VRヘッドセットの接続に便利なHDMIとUSB 3.0を備える。
 本体のほかには、約230Wの電力供給が可能なACアダプタと、VESAマウントキットが付属する。
前面パネル。電源スイッチ、赤外線受信部、SDカードスロット、USB 3.1、USB 3.0、HDMI、USB 3.1 Type-C、音声出力
背面パネル。音声出力、ACアダプタ端子、Thunderbolt 3×2、MiniDisplayPort×2、Gigabit Ethernet×2、USB 3.0×4、HDMI
左側面。中央部にケンジントンロックポートが設けられている
右側面
天板。6カ所をネジで固定されており、取り外すとケース内部にアクセスできる
底面。ゴム足が配置されている
ケース底面の通気口は冷却用ブロアファンの吸気口となっている
ケース背面の排気口。内部のヒートシンクが見えている
ACアダプタ。19.5V/11.8A、約230Wの電力を供給できる
本体と並べると、かなり大きなACアダプタであることが分かる
ACケーブルはPC向けの3ピンケーブル
VESAマウントアダプタ
 天板には、色と動作が調整可能なLEDを採用した、ドクロマークのイルミネーションを備えている。Hades Canyonのドクロマークは、LEDを消灯するとほとんど見えなくなるので、不要であれば消灯しても良いだろう。
LEDユーティリティ「LED Manager for Intel NUC」。発光色や点滅動作の調整が行なえるユーティリティで、任意のLEDを消灯することもできる。
LED消灯時。この状態ではドクロマークは視認できない。
LED点灯時。LEDを点灯することで天板にドクロマークが浮かび上がる。
 筐体内部には、天板のパネルを外してアクセスする。Hades Canyonは、メインメモリ用にDDR4 SO-DIMMスロット×2基と、ストレージ用のM.2スロット×2基を備えている。
 2基のM.2スロットは、SATA 6GbpsまたはPCI Express 3.0 x4接続のSSDに対応している。搭載可能なSSDのカード長は、片方は42mm長と80mm長に対応しているが、もう片方は80mm長のみの対応となっている。
天板のネジは付属の六角レンチを使って取り外す
天板を外したところ。LED制御用ケーブルを外し、中央部分のネジを1本外すと、LEDユニットを搭載したパネルが外せる
Hades Canyon(NUC8i7HVK)の内部
DDR4 SO-DIMMスロット。DDR4-2400メモリのデュアルチャネル動作に対応する
M.2スロット。SATA 6GbpsまたはPCI Express 3.0 x4接続のSSDを搭載できる
LEDユニットを搭載したパネルには熱伝導シートが貼られており、M.2 SSDの放熱を補助する仕組み
テスト機材
 今回のテストでは、NUC8i7HVKと合わせて借用した、DDR4-3200対応の8GBメモリ2枚組「HX432S20IB2K2/16」、Intel Optane SSD 800pの118GBモデル「SSDPEK1W120GA01」、Intel SSD 545sの512GBモデル「SSDSCKKW512GB」を組み込んで、ベンチマークを実行する。
DDR4-3200動作対応の8GBメモリ2枚組「HX432S20IB2K2/16」
Intel Optane SSD 800Pの118GBモデル「SSDPEK1W120GA01」
Intel SSD 545sの512GBモデル「SSDSCKKW512GB」
 なお、NUC8i7HVKにDDR4-3200対応メモリを搭載すると、自動的にXMPがロードされてDDR4-3200動作が適用された。このため、今回はDDR4-3200動作に加え、参考データとして、手動でDDR4-2400に設定したさいのスコアも取得した。
 比較用には、AMDのAPU「Ryzen 5 2400G」を用意した。価格帯が一致する製品ではないが、現時点で最上位のAPUとHades Canyonのあいだに、どの程度の差があるのかを確認してみよう。

テスト機材一覧

テスト環境

NUC8i7HVK (DDR4-3200)

NUC8i7HVK (DDR4-2400)

Ryzen 5 2400G

CPU

Core i7-8809G (4C8T)

Ryzen 5 2400G (4C8T)

マザーボード

標準搭載 (UEFI: 0040)

ASUS PRIME X470-PRO (UEFI: 4011)

メモリ

DDR4-3200 8GB×2 (20-22-22-42、1.20V)

DDR4-2400 8GB×2 (15-17-17-32、1.20V)

DDR4-2933 8GB×2 (16-18-18-36、1.35V)

iGPU

Intel HD Graphics 630

Radeon RX Vega 11

dGPU

Radeon RX Vega M GH

システム用ストレージ

Intel Optane SSD 800P 118GB

Intel Optane SSD 800P 58GB

アプリケーション用ストレージ

Intel SSD 545s 512GB

Sandisk Ultra 3D SSD 1TB

電源

ACアダプタ

玄人志向 KRPW-TI700W/94+ (700W 80PLUS Titanium)

CPUクーラー

付属CPUクーラー

サイズ 虎徹 Mark II

OS

Windows 10 Pro 64bit (Ver 1803/Build 17134.81)

グラフィックスドライバ

23.20.792.2048

Radeon Software Adrenalin Edition 18.5.1

電源プロファイル

高パフォーマンス

室温

約27℃
Ryzen 5 2400GのCPU-Z実行画面。Zenアーキテクチャベースの4コア8スレッドCPU
Ryzen 5 2400Gの内蔵GPU「Radeon RX Vega 11」。704基のストリームプロセッサを備えている
ベンチマーク結果
 それでは、ベンチマーク結果を確認していこう。今回実行したテストは、「CINEBENCH R15」、「HandBrake 1.1.0」、「TMPGEnc Video Mastering Works 6」、「PCMark 10」、「3DMark」、「VRMark」、「SteamVR パフォーマンステスト」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「オーバーウォッチ」、「アサシン クリード オリジンズ」、「ゴーストリコン ワイルドランズ」だ。
 CINEBENCH R15では、シングルスレッド性能が17%なのに対し、マルチスレッド性能で7%、それぞれNUC8i7HVKがRyzen 5 2400Gを上回った。
 シングルスレッド性能でより優位なのは、Turbo Boostで最大4.2GHzまでクロックが上昇する、Core i7-8809Gのクロックの高さが反映されたためだ。
【グラフ01】CINEBENCH R15
 動画エンコードソフトのHandBrakeとTMPGEnc Video Mastering Works 6では、H.264形式で10~13%、H.265形式で35~37%、Ryzen 5 2400Gを上回っている。
 AVX2を活用するx265でのエンコードでRyzenに対して有利なのは、最近のIntel CPU共通の傾向だ。
 TMPGEnc Video Mastering Works 6では、GPUのハードウェアエンコーダを利用したさいの性能も測定した。同じAMD Media SDKを利用したエンコードでは、わずかにRyzen 5 2400Gより速いようだ。
 NUC8i7HVKで利用できる、Intel QSVとAMD Media SDKの比較では、エンコード時間ではAMD Media SDKの方が有利なようだ。ハードウェアエンコーダを利用する場合、品質の差もあるため、どちらが良いか一概には言えないが、2つのハードウェアエンコーダが利用できるのは、NUC8i7HVKの魅力と言えるだろう。
【グラフ02】HandBrake 1.1.0
【グラフ03】TMPGEnc Video Mastering Works 6(v6.2.8.35)
【グラフ04】TMPGEnc Video Mastering Works 6(v6.2.8.35)- ハードウェアエンコーダ
 PCMark 10は、シングルスレッド性能がスコアに反映されやすいテストであるため、もともとNUC8i7HVKが有利なテストだ。
 加えて、GPU性能が重要なGamingでRyzen 5 2400Gを大きく引き離したことで、総合スコアでもNUC8i7HVKが大きくリードしている。
【グラフ05】PCMark 10 (v1.0.1493)
 3DMarkのGraphics Scoreをみると、NUC8i7HVKはRyzen 5 2400Gに、230~273%もの差をつけて圧倒している。Ryzen 5 2400G内蔵GPUの約2.2倍のストリームプロセッサを備える、Radeon RX Vega M GH Graphicsの高い性能がうかがえる結果だ。
 またCPU統合GPUでは、メインメモリをVRAMとして利用する関係で、メモリクロックの差がGPU性能に影響するが、専用VRAMとして4GBのHBM2を持つCore i7-8809Gでは、メモリクロックの差がほとんどスコアに反映されていないことにも注目だ。
【グラフ6】3DMark – Time Spy v1.1
【グラフ7】3DMark – Fire Strike v1.1
【グラフ8】3DMark – Sky Diver v1.0
【グラフ9】3DMark – Cloud Gate v1.1
【グラフ10】3DMark – Ice Storm Extreme v1.2
 VRMarkではOrange Roomでのみ、NUC8i7HVKがターゲットフレームレートの109fpsをクリアしている。また、SteamVR パフォーマンステストでも、忠実度で4.6を記録して「VR 可能」の評価を獲得しており、VR用途でもある程度の性能が期待できそうだ。
【グラフ11】VRMark スコア
【グラフ12】VRMark 平均フレームレート
【グラフ13】SteamVR パフォーマンステスト
NUC8i7HVKのSteamVR パフォーマンステスト実行結果。テスト全体で90fps以上で動作しており、「VR 可能」の評価を獲得した
Ryzen 5 2400GのSteamVR パフォーマンステスト実行結果。テスト中90fpsを超えなかったため、忠実度の評価は0となっている
 NUC8i7HVKは、フルHD解像度で最高品質設定のファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークにおいて、最高評価の「非常に快適」の基準となる、7,000を超えるスコアを記録し、オーバーウォッチでも、最高画質設定のエピックで60fps以上を達成している。
 GPU負荷の高い、FINAL FANTASY XVやアサシン クリード オリジンズをある程度安定したフレームレートでプレイするには、描画品質を多少妥協する必要はあるようだが、フルHD解像度までなら、最新タイトルであっても十分プレイできるだけの性能を備えていると言えるだろう。
【グラフ14】ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
【グラフ15】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
【グラフ16】オーバーウォッチ (ver 1.24.0.1)
【グラフ17】アサシン クリード オリジンズ (ver 1.41)
【グラフ18】ゴーストリコン ワイルドランズ (ver 2836063)
 アイドル時の消費電力と、各ベンチマークテスト実行中のピーク消費電力をまとめたものが以下のグラフだ。
 NUC8i7HVKのアイドル時消費電力は19Wと低く、ピーク時の消費電力も136Wだった。ゲーミング性能を考えると、NUC8i7HVKの電力効率はなかなか優秀と言えるだろう。
【グラフ19】システムの消費電力
 以下のグラフは、ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク実行中、「CPU温度とGPU温度」と「冷却ファンの回転数」をHWiNFO64(v5.84)で測定したもの。
 テスト実行中は、おおむねCPUは80℃前後、GPUは65℃前後の温度で推移しており、ピーク温度はCPUが98℃、GPUは68℃だった。
 CPU温度は、テスト結果を集計する最後のロード中に、TjMaxである100℃まであと2℃というところまで迫っているが、ギリギリでサーマルスロットリングによる性能低下を回避している。
 ファンの回転数については、テスト開始前は約650rpm。テスト中はCPU温度に連動して変化しており、ピーク時には約2,250rpmで動作していた。アイドル時の動作音はかなり静かで、ピーク時でも、小型の筐体の割には大人しい動作音といった印象だ。
【グラフ20】ベンチマークテスト実行中のCPU/GPU温度の推移
【グラフ21】ベンチマークテスト実行中の冷却ファン回転数の推移
本格的にゲームを楽しめる高性能ゲーミングNUC
 Kaby Lake-Gを採用したHades Canyonは、省スペース性を特徴とするNUCとしてはやや大型ではあるものの、VRも楽しめる高性能ゲーミングPCとしては、非常にコンパクトだ。インターフェイスの配置も工夫されており、小さいだけでなく使い勝手もよい。
 今回テストしたNUC8i7HVKは、グラフィックス性能はもちろんのこと、4コア/8スレッドCPUである、Core i7-8809GのCPU性能も優秀なので、写真編集や動画制作など、クリエイティブな用途でも高い性能が期待できる。
 もし、高性能な省スペースPCを求めているのであれば、ぜひとも選択肢に加えることをオススメする。

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投稿者 Babaske

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