コンシューマゲーム機用の人気シリーズの最新作がPC向けにもリリースされるようになった現在、「ポータブルゲーミングPC」というジャンルがかつてない盛り上がりを見せている。秋葉原や日本橋には専門店ができ、家電量販店にはコーナーが常設され、また直近では大手PCメーカーであるASUSがついに参入を果たし、多くの商品からマシンを選べるようになってきた。
 これから発表、発売を控えている製品もあるが、今回は現時点において日本で購入(予約)可能な「ポータブルゲーミングPC」をまとめてみた。本カタログでは簡潔に各製品のスペックや売りをお伝えしているが、詳細な使い勝手やパフォーマンスをチェックできる記事リンクも用意している。皆さんがプレイするゲーム、予算に応じたマシン選びの参考にしてほしい。
記事目次
(1)【10万円台~】ASUS JAPAN「ROG Ally」
(2)【11万円台~】AOKZOE「AOKZOE A1 Pro」
(3)【14万円台~】One-Netbook「ONEXPLAYER 2」
(4)【13万円台~】GPD「GPD WIN4」
(5)【5万円台~】Valve「Steam Deck」

性能面だけでなく丁寧なローカライズこそASUSならではの強み
ASUS JAPAN「ROG Ally」
 「ROG Ally」はASUSが満を持してリリースしたマシン。プロセッサはRyzen Z1 ExtremeまたはRyzen Z1を採用。Ryzen Z1 Extreme版は6月14日に発売済みだが、Ryzen Z1版の予約開始日、発売日は夏予定だ。
 メモリは16GB、ストレージは512GBで同じだが、GPUのCU(Compute Unit)数がRyzen Z1 Extremeは12個で最大8.6TFlops、Ryzen Z1は4個で最大2.8TFlopsとなっており、グラフィックス性能で差別化が図られている。
 7型フルHD液晶のリフレッシュレートが120Hzなのも他社製品に対する優位点だが、本製品で最も注目すべきはローカライズ。「コマンドセンター」、「Armoury Crate」などのゲームユーティリティが丁寧に日本語化されており、設定時に迷うことはない。
 また上位モデルで10万9,800円という戦略的な価格が設定されたことにより、今後のライバル製品の価格も下がるはずだ。ポータブルゲーミングPCの市場拡大に大きな貢献を果たしたと言える。

製品名

ASUS「ROG Ally」

OS

Windows 11 Home

プロセッサ

Ryzen Z1 Extreme/Ryzen Z1

メモリ

16GB LPDDR6-6400

ストレージ

512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD)

ディスプレイ

7型液晶(1,920×1,080ドット、120Hz、タッチ対応、光沢)

インターフェイス

ROG XG Mobile×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1

サイズ/重量

280×111.38×21.22~32.43mm/約608g

バッテリ

40Wh

実売価格

Ryzen Z1 Extreme版:10万9,800円、Ryzen Z1版:8万9,800円
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ROG Allyを追撃するべく、いち早く「Ryzen 7 7840U」を搭載
AOKZOE「AOKZOE A1 Pro」
 「AOKZOE A1 Pro」はROG Allyを追撃するべく、いち早く「Ryzen 7 7840U」を搭載してリリースされるポータブルゲーミングPC。Ryzen 7 7840U はZen 4アーキテクチャのCPUコア、RDNA 3アーキテクチャの「AMD Radeon 780M」を内蔵。Ryzen Z1 Extremeと同じく8.6TFlopsの演算性能を実現したと謳われている。
 ROG Allyよりちょっと高価だが、ディスプレイは8型と大きく、解像度は1,920×1,200ドットと縦に120ドット多い。またストレージは1TBスタートで、インターフェイスもUSB4、USB 3.1 Type-C、USB 3.0を装備しており、使い勝手がいい。
 さらに背面にはキックスタンドが用意されているので、本体だけで自立する。ROG Allyに負けじと対抗的な価格を設定してきたAOKZOE A1 Proは強力なライバルとなるはずだ。

製品名

AOKZOE「AOKZOE A1 Pro」

OS

Windows 11 Home

プロセッサ

Ryzen 7 7840U

メモリ

16GB/32GB LPDDR5X-7500

ストレージ

1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)

ディスプレイ

8型液晶(1,920×1,200ドット、60Hz、タッチ対応、光沢)

インターフェイス

USB4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1

サイズ/重量

約285×125×21~40mm/約729g

バッテリ

65Wh

実売価格

16GB/1TB版:11万9,800円、32GB/1TB版:13万9,800円、32GB/2TB版:14万9,800円
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さまざまなスタイルに変化する「DIYポータブルUMPC」
One-Netbook「ONEXPLAYER 2」
 「DIYポータブルUMPC」という新機軸のコンセプトで登場したのが「ONEXPLAYER 2」。プロセッサはRyzen 7 6800U、メモリは16GB/32GB、ストレージは1TB/2TBを搭載しつつ、8.4型、2,560×1,600ドットという大型&高精細なディスプレイを採用。そしてオプションでカバーキーボードとスタイラスペンを用意しており、2 in 1 PCにゲームモードを追加した万能UMPCだ。
 左右のゲームコントローラは取り外しが可能で、タブレットモード、ノートブックモードでは最小、最軽量状態で持ち運べる。キックスタンドが付いているので動画プレーヤーとしての使い勝手もいい。
 カバーキーボードはキーピッチが実測15.5mm、キーストロークが実測2mm前後だが、文字キーが等幅で、配置も素直なので想像以上に打ちやすい。さまざまな用途を集約したいのであれば、ONEXPLAYER 2はイチ押しのマシンだ。

製品名

One-Netbook「ONEXPLAYER 2」

OS

Windows 11 Home

プロセッサ

Ryzen 7 6800U

メモリ

16GB/32GB LPDDR5-6400

ストレージ

1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)

ディスプレイ

8.4型液晶(2,560×1,600ドット、60Hz、タッチ対応、ペン対応、光沢)

インターフェイス

USB4×1、USB 3.2 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmイヤフォンジャック×1

サイズ/重量

約310×127×23~40mm/約848g(コントローラー込み)

バッテリ

65.5Wh

実売価格

16GB/1TB版:14万9,400円、32GB/1TB版:18万2,000円、32GB/2TB版:19万8,000円
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「VAIO type U」と「PSP go」をフュージョンさせたような独特なスタイルが魅力
GPD「GPD WIN4」
 懐かしの「VAIO type U」と「PSP go」をフュージョンさせたかのような独特なスタイルを採用したのが「GPD WIN4」。プロセッサはRyzen 7 6800U、メモリは16GB/32GB、ストレージは1TB/2TBを用意。ディスプレイが6型と今回の製品の中で最も小さいので、老眼が始まった筆者にはハズキルーペが必須だ。
 ネイティブのランドスケープ液晶を採用することで、古めのゲームとの互換性が高いことがPC Watchのレビューで高く評価されているが、個人的にはオプションの「GPD WIN4 専用LTEモジュール」(1万8,400円)も強く推したい。
 スライド式メカニカルキーボードは長文入力には向かないが、メールやメッセージにサクッと返信するのに重宝する。キーボード入力を重視する人は、同じプロセッサ搭載で10.1型になった「WIN Max 2」もあるので、こちらも考慮に入れたい。

製品名

GPD「GPD WIN4」

OS

Windows 11 Home

プロセッサ

Ryzen 7 6800U

メモリ

16GB/32GB LPDDR5-6400

ストレージ

1TB/2TB(PCIe Gen3 x4接続SSD)

ディスプレイ

6型液晶(1,920×1,080ドット、60Hz、タッチ対応、光沢)

インターフェイス

USB4×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、microSDメモリカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1

サイズ/重量

約220×92×28mm/約598g

バッテリ

45.62Wh

実売価格

16GB/1TB版:13万9,800円、32GB/1TB版:17万1,000円、32GB/2TB版:18万9,000円
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スペック的には見劣りするが5万9,800円という最安の価格は魅力
Valve「Steam Deck」
 「Steam Deck」がほかのポータブルゲーミングPCと最も異なるのは、もはや言うまでもなく搭載OS。OSには「SteamOS 3.0」が採用されており、標準状態で利用できるゲームプラットフォームは「Steam」のみだ。
 長らく予告されているSteamOSとWindowsのデュアルブートウィザードを表示するSteamOSインストーラはまだリリースされていないので、ほかのゲームプラットフォームを利用するためには内蔵ストレージやmicroSDメモリカードにWindowsをインストールする必要がある。
 プロセッサはZen 2アーキテクチャのCPUコア、RDNA 2アーキテクチャのGPUコアを内蔵したカスタム版のAMD APUを採用。メモリは16GBのみで、64GB eMMC、256GB SSD、512GB SSDを搭載した3モデルが用意されている。
 元々海外では2021年に発売された製品でありスペック的には見劣りするが、今回最安の5万9,800円という価格は魅力。64GB eMMCを搭載していても、スロット自体はSSDに対応しているので大容量SSDに換装できる。OS的にも、性能的にも制限があるので、いまとなっては上級者向けの製品と言える。

製品名

Valve「Steam Deck」

OS

SteamOS 3.0(Archベース)

プロセッサ

AMD APU(CPU:Zen 2、4コア8スレッド、2.4~3.5GHz動作、GPU:RDNA 2、8CU、1.0~1.6GHz動作、TDP:4~15W)

メモリ

16GB LPDDR5

ストレージ

64GB eMMC/256GB SSD(PCIe Gen3 x4接続SSD)/512GB SSD(同)

ディスプレイ

7型液晶(1,280×800ドット、60Hz、タッチ対応、光沢)

インターフェイス

USB 3.2 Gen2 Type-C×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1

サイズ/重量

298×117×49mm

バッテリ

約669g

実売価格

64GB版:5万9,800円、256GB版:7万9,800円、512GB版:9万9,800円
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投稿者 Babaske

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