筆者自室の机にDellのU4919DWを導入したところ
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大は世界的に発生しており、我が国も大きな影響を受けている。それに合わせてテレワークやリモートワークとよばれる在宅勤務に切り替わっている読者もいることだろう。
フリーランスの個人事業主ではあるが筆者もその1人で、今年(2020年)の頭までは海外でIT企業を取材して記事を書くという仕事の仕方だったが、今は自宅にこもってリモートでの取材活動がメインになっている。
このため、これまで以上に自宅のITインフラが重要になってきており、それに伴って自宅の環境を整備・検討したりしている。そのなかでいち早く導入を決めたのが、大型のディスプレイだ。
今回はアスペクト比が32:9のデル製49型ウルトラワイドディスプレイ「U4919DW」を導入してみた。解像度は5,120×1,440ドットであり、湾曲型となる。
先が見えない状況でテレワークが長く続くかもしれない。それならと自宅のITインフラを強化
COVID-19により世界は大混乱の極みにある。多くの読者もその影響を受けていると思われるが、筆者もその1人。予定していた海外取材がすべて吹っ飛んでおり、現在では電話会議などでの取材というかたちに大きく切り替わっている。
これまでは出先(たとえば出張先のホテルとか)で仕事をすることがほとんどだったため、自宅のIT環境はそれこそ必要最小限にしていたのだが、ここ数カ月、場合によっては年単位で自宅での仕事が増えることになりそうだ。
そこで、自宅の仕事環境を整備することにした。これまでの筆者の仕事環境はおもにノートPCであり、より速く使いやすい製品を1年に一度程度購入して乗り換えるというものだった。
ファイルサーバーに利用しているPCは別にして、すでに自宅からデスクトップPCを一掃しており、メインで利用しているノートPC、メインが壊れたときのバックアップとして稼働しているバックアップ1、バックアップ2という3台のノートPCを必要に応じてメンテナンスしながら運用している。
自宅に帰ってきたときには、ノートPCを外付けディスプレイに接続して作業している。そのほうが表示できる情報量を増やせるからだ。
筆者の仕事は記者として取材し、事実確認をしながら記事を書くというものだ。このため、取材相手から頂戴した資料をよく読み込んだり、関連のWebサイトなどで公開されている資料を確認しながら記事を書き進める必要がある。
そうなると、記事を書くときにメインのディスプレイに表示させている原稿だけでなく、PDFでの資料だったり、Webサイトなどをできるだけ多く表示する必要がある。
そうした作業は、現在テレワークをしている会社員の方も同様だろう。家では会社支給のノートPCなどで作業をされていると思われるが、会社でデスクトップPCを使っている人にとっては、ノートPCは画面が小さかったり、解像度が高くなかったりするため、表示できる情報はかぎられてしまう。そうした不満を感じているなら、外付けディスプレイを導入したい。格段に能率が上がるはずだ。
市販のPC用ディスプレイのなかでも超大型の49型液晶をチョイス
デルのU4919DW(出典 : Dell)
と言っても、筆者はすでに32型4K(3,840×2,160ドット)のディスプレイをノートPCにつなげて利用していた。それなりに満足していたのだが、もう少し大きいディスプレイが欲しいと感じていたところだったので、自宅での仕事が増えた今回の騒動を決断の機会だと思い、置き換えることにした。
そもそも32型4Kもそれなりに高解像度なのだが、これをさらに大型のものに置き換えとなると選択肢はほぼ1つしかない。それは最近のディスプレイのトレンドの1つである32:9のアスペクト比を持つ、ウルトラワイド液晶と呼ばれる横長の湾曲ディスプレイだ。
一般的な外付けディスプレイは大多数のノートPCと同じように、16:9のアスペクト比のパネルを採用している。アスペクト比とは、ディスプレイの縦と横の長さの比率のことで、16:9であれば横が16の割合に対して、縦が9の割合になっているという意味だ(たとえば、横が160cmであれば縦は90cm)。
それに対して32:9のアスペクト比のディスプレイの場合は、横が32と長くなっているのに対して縦は9のままになるので、横長のディスプレイとなる。16:9のディスプレイを2枚くっつけたディスプレイと考えればわかりやすいだろう。
32:9のディスプレイは多数製品化されており、現在は選択肢も豊富になりつつある。34型、38型、43型、49型と複数のサイズがあるが、そのなかでも今回は最大の49型を選択することにした。
理由は今後数年間使うことを考えると、一番良いものを買っておくのが、安物買いの銭失いにならないという筆者の信念(?)であり、何より34型や38型では32型からちょっと広くなるだけなので、それならもっとも大きいものを使いたいと考えたからだ。
候補はデルの「U4919DW」のほかにも、LGの「49WL95C-W」があり、どちらも17万円程度という価格だった。
スペックもほぼ同等で、解像度は5,120×1,440ドット、映像入力はUSB Type-Cx1、DisplayPort×1、HDMI×2となっており、明確な差異は認められなかった。しかし購入時に49WL95C-Wが在庫切れで入荷時期もわからなかったことが決め手となり、オンラインで注文できるU4919DWを注文した。
なお、49型ウルトラワイドディスプレイには、パネルにVA液晶を採用したものと、IPS液晶を採用した製品の2種類があるが、筆者はIPS液晶のカッチリとした表示が好きなので、後者のパネルを採用した製品を選んでいる。
U4919DWの前面(出典 : Dell)
U4919DWの背面(出典 : Dell)
U4919DWのポート。USB Type-C、DisplayPort、HDMI×2、USB 3.0(USB Type-A、ダウン)×5、USB 3.0(USB-B、アップ)×2という端子構成(出典 : Dell)
140×54×32cmという巨大なパッケージで到着。外箱全体の重量はじつに26.43kg!
U4919DWの外箱。とにかく大きく、上に置いたiPhone 7と見比べれば、その大きさを実感していただけると思う
注文から3日程度となる2月末にU4919DWが届いた。デルの場合は海外の工場で生産するものは通常納期2週間、日本に在庫がある製品は割とすぐ届く仕組みになっているので、おそらく在庫が日本にあったのだろう。
度肝を抜かれたのは、その外箱のサイズだ。計測してみると、140×54×32cm(幅×奥行き×高さ)という巨大さで、パッケージ全体の重量は公式スペックによると26.43kgとのこと。正直1人で持ち上げて移動するのは無理で、玄関から部屋まで入れるのはあきらめて玄関で解体したほどだ。
写真のとおり、部屋の戸よりもかなり長いので、入れるのにも一苦労だ
箱に書いてあったばらし方
手前側にスタンドが、奥側にディスプレイ本体が入っている
組み立てマニュアル
スタンドなどが入った箱を外すとディスプレイがようやく見える
内箱に入ったディスプレイ本体部分、このままスタンドを取りつける
スタンドを取りつけたところ
ディスプレイとスタンドを合わせた重量は17.2kg。ディスプレイの本体部分だけでも11.4kgと相当重いので、腰などに不安があるなら複数人で行なうべきだろう。筆者は1人で組み立てたが作業スペースさえ確保できれば、とくに難しくはなかった。
ただし、設置場所に関しては相当綿密に検討をする必要がある。と言うのも、U4919DWの横幅は約1.2mもあり、そのぶんのスペースがないと置くが厳しい。筆者の仕事部屋の机の幅は約1.1mだったので、見事にはみ出してしまった。
従来の筆者の机。ラックの上に32型4Kディスプレイ(LG 32UD99)を置いて、その上にスキャナやスピーカーなどを置いていた
U4919DW導入後の筆者の机周り、ラックにディスプレイが収まりきらず、かつ重量的にも危なかったので、ラックを捨てることに
最終的には机の上にU4919DWを置くことにした。机の左側からはみ出しているがこれで良しとした
中央部にUSB Type-C(DisplayPort Alt Mode)、USB Type-A×3、USB Type-B(アップストリーム用)×2が用意されている
ディスプレイの左側下部にはUSB Type-A×2があり、1つは充電用として利用可能。ただ、このようにマウスのドングルをつけるぐらいだといいが、USBケーブルだとディスプレイからケーブルがダラーンとなるので見た目が悪くなるだろう
電源は内蔵方式で、3ピンの電源ケーブルをACアウトレットに接続するだけ。ACアダプタがないのでスッキリしていてよい
ディスプレイのサイズは1.2mを超える。とにかくデカイ
これはもうはみ出すことは仕方がないと考えることにして、部屋のレイアウトを若干変えて対処した。具体的には机の横に設置されていたラックの位置を変えて、1.2mのディスプレイがはみ出しても大丈夫なようにした。
また、机には上方の空間がうまく利用できるようにラックが追加されていたのだが、このラックも幅が1mで1.2mのU4919DWがはみ出してしまう。このため、こちらも取り外してディスプレイを直接机の上に置くことにした。ラックの耐荷重も確か10kg以下だったはずなので、この17kgのU4919DWを置くのは安全上好ましくないとも考えたからだ。
最大の問題は5,120×1,440ドットというネイティブ解像度でドットバイドット表示ができるかどうか
Windowsの設定で、5,120×1,440ドットに設定しているところ
もう1つの課題はどのようにノートPCをD4919DWに接続するかだ。D4919DWにはUSB Type-C、DisplayPort、HDMI(2.0)×2という4つの入力端子が用意されており、それぞれ切り替えて利用できる。
ただし、ここで考えておかないといけないことは、D4919DWが5,120×1,440ドットという、4K(3,840×2,160ドット)を横幅で超える解像度になっていることだ。液晶パネルをネイティブ解像度以外で表示すると、ややぼやけた表示になってしまうので、PCの解像度とディスプレイパネルの解像度が一致している(ドットバイドット表示と呼ぶ)ことが何よりも重要だ。
OSDでPBP(ピクチャーバイピクチャー)表示が設定できる
それぞれのPCが2,060×1,440ドット表示しているところ、中央の枠がないので不思議な感じ
D4919DWは、2つの映像入力を右と左に2,060×1,440ドットで分割表示するというPBP(ピクチャーバイピクチャー)機能を搭載しているのだが、そうするとPCが2台必要になってコピー&ペースト時にネットワークを介してやらないといけなくなって面倒だったり安定性に不安があったりする。そうしたことを考えると、1つのPCでフル解像度で表示できるほうが筆者としては好みだ。
ところが、この5,120×1,440ドットという4Kを超える解像度を表示できるかはPC側の仕様に依存する。4Kでもリフレッシュレートを60Hzに設定するには、PCのスペックがある程度の条件を満たす必要がある。具体的にはDisplayPortであればバージョン1.2以上、HDMIであれば2.0以上の出力ポートを利用する必要があり、かつGPU側がそれをサポートしていなければならない。
ディスクリートGPUであれば、近年発売されたものは大抵HDMI 2.0以上に対応しているし、デスクトップPCのビデオカードであればDisplayPort出力が用意されているのがほとんどなので、あまり気にしないで良い。問題は、ノートPCで一般的に利用されているiGPU(統合型GPU)で、iGPUと組み合わせて利用する場合だ。
とくにIntelの第6世代(Skylake)/第7世代(Kaby Lake)/第8世代(Kaby Lake-R/Whiskey Lake)に内蔵されているGen9のiGPU(HD Graphics/UHD Graphics 620のブランド名が採用されている)は、HDMI 2.0に対応していないため、4K/60Hzで出力できないのだ(外付けでHDMIに対応するトランスミッターを搭載すれば対応可能)。
D4919DWでも同じように、GPUとディスプレイ出力の種類によって5,120×1,440ドットというネイティブ解像度で表示できるかどうかが決まってくる。デルが公開している情報によれば、5,120×1,440ドット/60Hzに設定するには下表のような条件を満たす必要がある。