約5.68kg(パネル、スタンド、ケーブル込み) デルは、3,840×2,160ドット(4K)表示に対応する23.8型液晶ディスプレイ新モデル「P2415Q」を発表した。低価格4K液晶の先駆け的存在で人気を集めた28型モデル「P2815Q」同様の低価格4K液晶製品だが、IPSパネルの採用や4K/60Hz表示に対応するなどの進化を実現している。12月12日に発売を予定しており、直販価格は54,980円。
【12月12日訂正】記事初出時、発売日を26日としておりましたが、正しくは12日です。お詫びして訂正します 本体デザイン 「P2415Q」の本体デザインは、従来までのデル製液晶ディスプレイとほぼ同等だ。基本的には直線的なデザインだが、角やパネル部背面などに曲線を取り入れ、シンプルながら落ち着いた印象を与えるデザインとなっている。カラーは前面ベゼル部とパネル後部がブラックで、スタンドやパネル側面部はシルバーを採用しており、目立つ装飾は一切ない。この点も従来までのデル製液晶ディスプレイと変わっていない。 本体サイズは、566.64×205×369.53~499.53mm(幅×奥行き×高さ)。23.8型液晶としては標準的だ。重量は約5.68kg(パネル、スタンド、ケーブル込み)で、こちらもほぼ標準的な数値だ。 スタンドは、下5度から上21度の範囲内での角度調節、130mmの高さ調節、左右それぞれ45度ずつのスイベル、縦画面で利用できるピボット機構に対応。このスタンドは、デル製液晶ディスプレイで広く採用されているものとほぼ同じだが、なかなか高機能で便利に活用できるだろう。角度や高さの調節、ピボット機構を利用した縦画面への変更などは比較的スムーズに行なえ、液晶面のぐらつきが少ない点も嬉しい。 電源ボタンやOSD操作用のボタンは、液晶ベゼル右下側に縦に配置されている。電源ボタンにはLEDが組み込まれているが、OSD操作用ボタンはベゼル部のカラーと同じブラックで目立たない。ボタンは物理ボタンでしっかり操作できる。反面縦一列に並んだボタンのため、OSDの直感的な操作はやや難しいと感じる。 液晶パネル 3,840×2,160ドット表示に対応する23.8型パネルを採用する。パネルの方式はIPS方式で、上下の視野角は水平、垂直とも178度と十分に広い。実際に、上下左右に視点を移動させても色合いや明るさの変化はほとんど感じられなかった。パネル表面はアンチグレア処理のため、外光の映り込みが気になる場面はほとんどない。文字入力の多いビジネス系の用途から、映像表示、ゲームまで快適に利用できそうだ。なお、タッチパネルは搭載しない。 バックライトは、エッジライト方式のLEDで、輝度は300cd/平方m。輝度を最大に設定するとややまぶしいと感じるほどに明るい。コントラスト比は標準で1,000:1とIPS方式のパネルとして標準的だが、ダイナミックコントラスト機能有効時には2,000,000:1に拡張される。応答速度は標準時で8ms、高速設定(オーバードライブ)時には6msとなる。TNパネルの応答速度には及ばないが、IPSパネルとしては比較的高速だ。実際に、動画やゲーム画像などを表示してみても、残像が気になる場面はほとんどなかった。 接続端子 映像入力端子は、DisplayPort×1、Mini DisplayPort×1、HDMI×1の3系統を用意。DisplayPortおよびMini DisplayPort入力では4K/60Hz表示に、HDMI入力では4K/30Hzまでの表示に対応する。用意される映像入力端子は、種類、数とも4K液晶ディスプレイとして標準的だ。また、DisplayPort出力を1系統備えているため、ディスプレイのデイジーチェーン接続も可能だ。 映像入出力端子以外としては、USB 3.0 Hub機能を実現する、USB 3.0アップストリームポート×1、USB 3.0ダウンストリームポート×4と、ステレオ音声出力を用意する。USB 3.0 Hub機能は、ダウンストリームポートが映像入出力端子部分やパネル背面に用意されているため少々使い勝手が悪いものの、PC本体から離れた場所でUSB周辺機器を接続して活用できる点は便利だ。また、パネル背面のUSB 3.0ポートは最大5V/2Aの電力供給に対応しており、スマートフォンなどの高速充電が可能な点も大きな特徴だ。 ステレオ音声出力は、DisplayPortやHDMI経由で入力された音声を出力する。基本的には専用オプション品となる「サウンドバー AC511」接続用として用意されているが、一般的なスピーカーの接続にも活用できる。 OSD OSDの構成は、他のデル製液晶ディスプレイで採用されているものとほぼ同等だ。プロ向けのグラフィックス用途をターゲットとする製品のような、豊富な設定項目が用意されているわけではないが、色合い調節や明るさ、コントラストなど、必要となる項目は一通り網羅されており、大きな不満はない。プリセットの表示モードは、ムービーやゲーム、用紙など7種類が用意され、ユーザーモードと合わせて8種類から簡単に切り替えられる点は便利だ。 OSDの操作は、画面右下ベゼルに縦に並んだ4個のボタンを使って行う。物理ボタンのためしっかり押せて反応も良好。ボタンを押すと、ボタン横の画面に操作ガイドが表示されるので、それほど戸惑うことなく操作可能だが、ボタンが縦に並んでいることもあって、直感的な操作は少々難しいと感じる。 画質 P2415Qは、4K表示対応の液晶ディスプレイとしては比較的安価な部類に入る製品だ。しかし、sRGBカバー率99%の発色性能を備えるよう、出荷前に全製品カラーキャリブレーションを施し、色補正完了報告書を添付。また、10bitカラー表示にも対応。これらによって、発色性能はかなり優れている。表示される映像は発色が鮮やかで、微妙な色合いの違いもしっかりと表現されており、カラーバンディングも一切感じられない。また、コントラストも十分に高く、明るい場所から暗い場所まで豊かで深みのある表現力が備わっている。 液晶表面がノングレア処理となっているため、環境光の加減によって全体的にわずかに白っぽく見える場合もあったが、全体的な表示品質は十分に満足できる。もちろん、外光の映り込みは一切気にならないため、文字入力中心の用途にも快適に利用できる。IPSパネルの採用により、広視野角で視点が移動しても明るさや色合いの変化を感じない点も大きなポイントだ。 映像コンテンツや、ゲームなどの高速なスクロールが発生するような映像を表示した場合など、わずかに残像を感じるものの、気になるほどではなかった。また、表示遅延に関しては、低遅延を特徴としている製品に比べるとわずかに大きいように感じるが、家庭用ゲーム機を接続してゲームをプレイしても、大きな違和感なくプレイ可能なレベルで、こちらも大きな不満はない。 ところで、23.8型で4K表示に対応しているため、等倍表示時のデスクトップアイコンの文字サイズは1.5mmほどとかなり小さくなってしまう。一部ノートPCで採用例のある、15型クラスの4K液晶パネルに比べると、まだ文字は見やすいものの、それでも小さく表示される文字の視認性はやや低く感じる。通常は、文字サイズを拡大して利用するのが基本になると思うが、それでもフルHDを大きく上回る作業領域を確保できるのは大きな魅力となるはずだ。 P2415Qは、65,000円を切る安価な価格ながら、4K表示対応のIPSパネルを採用し、4K/60Hz入力をサポートし、sRGBカバー率99%の広色域表示に対応するなど、価格を大きく上回る魅力を備える製品と言える。個人的には、表示される文字の視認性などを考慮し、4K表示対応の液晶ディスプレイは28型以上のサイズが欲しいと感じるが、設置場所の確保などを考えると、なかなか導入が難しい場合も多い。文字の視認性はやや低下するが、23.8型なら設置場所の確保も容易で、安心して導入できるはず。そろそろ4K液晶ディスプレイを導入しようと考えているなら、真っ先に考慮すべき製品と言える。 (平澤 寿康)
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関連リンク デルのホームページhttp://www.dell.co.jp/ ニュースリリースhttp://ja.community.dell.com/dell-blogs/direct2dell/b/direct2dell/archive/2014/12/05/4k-p2715q-12-26 製品情報http://www1.jp.dell.com/content/products/productdetails.aspx/dell-p2415q-monitor?c=jp&cs=jpdhs1&l=ja&s=dhs
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