デル・テクノロジーズ株式会社「G3223Q」。直販価格15万4,800円
 デル・テクノロジーズ株式会社(以下、デル)は、リフレッシュレート144Hzの32型4K液晶搭載ゲーミングモニター「G3223Q」を4月15日に発売した。直販価格は15万4,800円だが、「【オンライン限定】モニター20% Off クーポン」を適用すれば、12万4,904円で購入可能だ(5月23日時点)。今回はゲーム関連の機能にスポットを当ててレビューしていこう。
リフレッシュレートより、画面サイズや解像度を優先する方向け
 G3223Qは32型という大画面、4K(3,840×2,160ドット)という高解像度が売りのゲーミングモニター。液晶パネルはFast IPSで、表面加工は反射防止型。リフレッシュレートは144Hz、中間色応答速度は1msだ。
 オーバークロック時で390Hzのゲーミングモニターが登場していることを考えると、144Hzでは物足りなく感じる方もいるかもしれない。しかし、そもそも30型超えの4Kモニターは現状ほぼ144Hzのため、G3223Qはリフレッシュレートよりも、画面サイズ、解像度を優先する方向けのモデルというわけだ。
 輝度は600cd/平方m、コントラスト比は1,000:1、色域はDCI-P3カバー率95%、sRGBカバー率99%。またHDR規格は「DisplayHDR 600」規格に対応しており、HDRコンテンツを再生可能。視野角は上下/左右ともに178度だ。
色域はDCI-P3カバー率95%、sRGBカバー率99%。動画のカラーグレーディングなどにも利用可能なスペックだ
視野角は上下/左右ともに178度。ほぼ真横からでも一定の視認性が確保される
 映像入力端子はDisplayPort 1.4、HDMI 2.1×2、その他端子はUSB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 3.0(アップストリーム)、3.5mmヘッドフォン端子を用意。3基の映像入力端子のうち2基を指定することで、PIP(ピクチャ・イン・ピクチャ)、PBP(ピクチャ・バイ・ピクチャ)表示が可能だ。
Windows PCと、手のひらサイズのコンピュータ「PasocomMini PC-8001」を接続してみた。Windows PCで処理に時間のかかる作業をしている最中に、PIPで表示した画面でゲームなどを楽しめる
 本体サイズは725.28×68.75×427.21mm(幅×奥行き×高さ)、重量は9.22kg(スタンド込み)。総重量はそれなりにあるが、アーム「スタンドライザー」、台座「スタンドベース」の装着に工具は必要ない。特に組み立てに手間取ることはないはずだ。
 スペック上の注意点はスピーカーが搭載されていないこと。ヘッドセットや外付けスピーカーが必要になる点には留意してほしい。

【表1】G3223Qのスペック

パネルサイズ

32型

パネル解像度

3,840×2,160ドット

パネル種類

Fast IPS、反射防止

最大表示色

10.7億色

リフレッシュレート

144Hz

応答速度

1ms(中間色時)

視野角

上下/左右ともに178度

輝度

600cd/平方m

コントラスト比

1,000:1

色域

DCI-P3カバー率95%、sRGBカバー率99%

HDR

DisplayHDR 600

同期技術

FreeSync Premium Pro

映像入力

DisplayPort 1.4(HDCP 2.2)、HDMI 2.1(HDCP 2.2)×2

その他端子

USB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 3.0(アップストリーム)、3.5mmヘッドフォン端子

スピーカー

消費電力

33.7W(最大121W)、0.3W(スタンバイ時)

本体サイズ(幅×奥行き×高さ)

725.28×68.75×427.21mm(スタンド込み)

重量

6.03kg(本体のみ)、9.22kg(スタンド込み)

付属ケーブル

DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、USB 3.0アップストリームケーブル、電源ケーブル

価格

15万4,880円
G3223Qのパッケージ
パッケージには説明書類(セットアップガイド、Calibration Factory Report、Warranty,Safety and Regulatory Information)、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、USB 3.0アップストリームケーブル、電源ケーブルが同梱
本体をパッケージに入れたままスタンドライザーを取り付けられる
スタンドライザーとスタンドベースを固定するネジは指で回せる。工具は不要だ
背面は「Alienware」を彷彿とさせる未来的デザイン
 ゲーミングモニターと言うと攻めたデザインのモデルが多いが、G3223Qも例外ではない。前面から見ると一般的なモニターとあまり変わらないが、背面は同社の「Alienware」を彷彿とさせる未来的なデザインだ。
ベゼルは上と左右が実測8mm、下が15mmの狭額縁仕様
SF映画の悲劇の悪役を思い出させるデザインだ
デルのロゴと山なりのラインは動作時に青く点灯する
左右側面には端子、ボタン類は存在しない
 端子は前述の通り、映像3系統(DisplayPort 1.4、HDMI 2.1×2)、USB 3.0(ダウンストリーム)×2、USB 3.0(アップストリーム)、3.5mmヘッドフォン端子が用意されている。
 USB 3.0(アップストリーム)をPCに接続しておけば、本体下部のUSB 3.0(ダウンストリーム)×2にキーボードやマウスを直結したり、USBドングルを挿せる。ワイヤレスタイプのキーボードやマウスは、USBドングルを床置きしたPCに接続すると反応が悪くなることがある。至近距離の端子にUSBドングルを挿せば、ワイヤレス接続が不安定になることはないはずだ。
本体下部
背面から見て、下部中央には電源端子、セキュリティーロックスロット、スタンドロック、DisplayPort 1.4、HDMI 2.1×2、USB 3.0(アップストリーム)、下部左には電源ボタン、下部右にはUSB 3.0(ダウンストリーム)×2、3.5mmヘッドフォン端子が配置されている
 操作系は本体下部に電源ボタン、本体背面にMenu(メニュー)ボタン、Exit(終了)ボタン、ショートカットキー1(プリセットモード)、ショートカットキー2(輝度/コントラスト)、ショートカットキー3(ダークスタビライザー)が配置されている。
 Menu(メニュー)ボタンはジョイスティックタイプで、ショートカットキー1~3には任意の機能を割り当てられる。背面ボタンに何も書かれていないので最初は戸惑うが、一度覚えてしまえば操作性は良好だ。
上からMenu(メニュー)ボタン、Exit(終了)ボタン、ショートカットキー1(プリセットモード)、ショートカットキー2(輝度/コントラスト)、ショートカットキー3(ダークスタビライザー)
ケーブル類はスタンドライザーを通してまとめられる
純正スタンドをはずせば、VESAマウント(100×100mm)を利用できる
 スタンドの調整機構は、チルトが-5/+21度、スイベルが60度、高さが100mmとなっている。ピボットには対応していない。32型と大きなG3223Qは、一度セッティングしたらまず動かすことはないだろう。チルト、スイベル、高さにこれだけの自由度があれば、姿勢などに合わせた微調整には必要十分だ。
高さは100mm
チルトは-5/+21度
スイベルは60度
OSDのメニュー構成は少々複雑
 OSD(オンスクリーンディスプレイ)は、ゲーム、輝度/コントラスト、入力信号、ディスプレイ、PIP/PBP、オーディオ、メニュー、カスタマイズ、その他……のタブが用意されている。機能的には十分だが、RGBやガンマ値の調整が、「ゲーム→コンソールモード」をいったん「オン」にしてから、再度「ゲーム→コンソールモード」と進み、「RGB」または「ガンマ」を選択しなければならない。少々面倒だ。
 一度覚えれば迷うことはないが、もし本製品を購入した場合にはサポートサイトから「Dell G3223Qモニターユーザーズガイド」をダウンロードして、メニュー構成を一通り確認することをお勧めする。
OSDには、ゲーム、輝度/コントラスト、入力信号、ディスプレイ、PIP/PBP、オーディオ、メニュー、カスタマイズ、その他……のタブが用意
Windows上から利用できるユーティリティ「Dell Display Manager」も提供されている
リフレッシュレートと応答速度の効果はいかに
 ここではゲーミングモニターとしての性能を確認するために、リフレッシュレートと応答速度をチェックしてみよう。まず、リフレッシュレートについては、G3223Qのリフレッシュレートを60Hz、120Hz、144Hzとしたうえで、「PUBG: BATTLEGROUNDS」のフレームレートをそれに合わせて60fps、120fps、144Hzに設定し、デジタルカメラのハイフレームレート(240fps)モードで撮影してみた。
60Hz/60fps、120Hz/120fps、144Hz/144fpsに設定して、PUBGで高速旋回しているときの画面をハイフレームレート(240fps)モードで撮影
 60Hz/60fpsと120Hz/120fpsの差は歴然としている。実際にPUBGで数回ゲームもプレイしてみたが、至近距離での撃ち合い、遠距離での索敵が断然有利になる。120Hz/120fpsから144Hz/144fpsへと設定を変えた際には、正直あまり差は感じなかった。しかし、上の動画のように並べてみると滑らかさに差はあるので、上級者レベルでの戦いでは恩恵を受けられるだろう。
 応答速度についてはG3223Qのリフレッシュレートを144Hz、PUBGのフレームレートを144fpsにしたうえで、G3223Qの応答速度を「高速」(4ms)、「超速」(2ms)、「最速」(1ms)に設定し、シャッタースピードを1/4,000秒に設定したカメラで静止画を、ハイフレームレート(240fps)モードに設定したカメラで動画をそれぞれ撮影してみた。
応答速度を「高速」(4ms)、「超速」(2ms)、「最速」(1ms)に設定し、PUBGで高速旋回しているときの静止画と動画を撮影した
「高速」(4ms)設定時。十数枚シャッターを切り、同じ鉄橋が写っている4枚の画像を切り出して合成している(以下、同)
「超速」(2ms)設定時
「最速」(1ms)設定時
違いが分かりやすいように、ハイフレームレート(240fps)モードで撮影した動画を、動画編集アプリでさらに25%に遅くしている
 「高速」(4ms)時に撮影した写真は前後の映像が写っている割合が多い。「最速」(1ms)時に前後の映像が写ることもあるが、応答速度の差は表れている訳だ。
 その一方で、上の動画をよく見てみると、濃い色の物体が右から左にスクロールしていったときに、同じようなシルエットが一瞬白く浮かび上がっている。G3223Qのユーザーガイドには「視覚的アーティファクトが生じる場合がある」と記載されているが、これが「アンダーシュート」、「オーバーシュート」と呼ばれる現象だ。
 G3223Qはデフォルトで応答速度は「高速」(4ms)に設定されている。ゲームをプレイしていて残像が気になったときに初めて、設定を変更すればよいと思う。
クリエイティブワークにも活用できる色域を備えている
 G3223Qの色域はsRGBカバー率99%、DCI-P3カバー率95%と謳われている。カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で実測したところ、sRGBカバー率は99.6%、sRGB比は130.3%、Adobe RGBカバー率は89.5%、Adobe RGB比は96.6%、DCI-P3カバー率は93.0%、DCI-P3比は96.0%という値が出た。
 DCI-P3カバー率はスペックにやや届かなかったものの、クリエイティブワークにも活用できる広い色域を備えていることは間違いない。
実測したsRGBカバー率は99.6%、sRGB比は130.3%
Adobe RGBカバー率は89.5%、Adobe RGB比は96.6%
DCI-P3カバー率は93.0%、DCI-P3比は96.0%
 G3223QはDisplayHDR 600に対応している。「サイバーパンク2077」でHDRオフ、HDR10 scRGBオンの状態の画面を見比べてみたところ、明らかな画質向上を確認できた。HDR10 scRGBオンにすると画面全体がわずかに暗くなるが、暗部の質感がきめ細かく描写され、白飛びも抑えられている。雰囲気重視のゲームではHDR設定を積極的に利用したいところだ。
HDRオフ
HDR10 scRGBをオン
スペースと予算をクリアできるならゲーム環境を快適化するG3223Qは魅力的
 ゲーミングモニターというと27型前後が主流。32型で、しかも4Kというと非常に選択肢が限られるが、索敵しやすい、目の疲労が少ないという大きなメリットがある。DCI-P3カバー率95%で、PIP/PBPに対応しているのも、ゲーム以外の用途に活用するにあたってのポイントだ。
 32型ということである程度の設置スペースが必要で、27型クラスと比べると価格もかなりお高めだ。しかし、この2点の条件さえクリアできるのであれば、ゲーム体験を大きく変えてくれるG3223Qは、魅力的なゲーミングデバイスと言える。

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投稿者 Babaske

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