「FlexScan EV2785」と「FlexScan EV2451」の連続ポチリをキメた
会社から出社禁止命令が出て、筆者は自宅に缶詰になっている。テレワークができる会社はおもに大企業と外資系で、国内中小企業はこれからという段階ではあるが、どこの会社も社員に対して命がけで出勤しろということは言っていられなくなるだろう。
自宅に仕事でこもるときは、健康に注意してもらいたい。運動のための道具もそうだが、筆者のオススメはCO2メーターだ。
狭い部屋で窓をしめていると、二酸化炭素濃度が案外あっさり1,000ppmを超える。 オフィスビルでは強力な換気が行なわれているため、働く人は気にしなくてよかったのだが、自宅勤務では自分で管理しないと仕事の能率が落ちる。
国の衛生基準では、オフィスビルなどは二酸化炭素濃度を1,000ppm以下にすることが定められているそうだ。 二酸化炭素濃度があがると、思考のパフォーマンスが落ちてくる。賃貸の狭い部屋に大人が2人いると1,000ppmなど簡単に超えてしまうのだ。
CO2メーターは粗悪品もあるので商品レビューをよく見て地雷を踏まないように買おう。数値1,000オーバーは、仕事するにはかなりやばい状態
なーんか自宅で仕事するとパフォーマンス上がらないと思うときは、メーターを見ながら定期的な換気を忘れずに。 カセットコンロで鍋をするときにも数値はつねにチェックだ。
外出自粛長期戦に備えてちょっとだけ良いディスプレイを
コロナウイルスの状況は全世界的に悪化してきている。いち早くロックダウンを解除した中国でも、現地で働く先輩などからは再度流行の兆しで行動制限がかかりそうだと言われている。
テレワークが長期戦になることに備えて、筆者はディスプレイを購入した。 個人で原稿を書く分には15型のノートPCで十分だったのだが、会社支給のPCは13型。 データ分析という仕事の特性もあり、会社では5Kの32型ディスプレイを使用している。
在宅では仕事にならないので会社大好きと思われていたが、ただ単純に家に仕事を持ち込みたくなかったのと、部屋の事情で大きなディスプレイを自宅に持ち込むことができなかっただけだ。
今回は自分用と同居人用に購入したEIZOのディスプレイを紹介する。
2種類をほぼ同タイミングで購入し使い比べてみると、単なるレビュー用の使い方ではわからない「小さいほうがいい場合もある」という興味深い考察になった。 ぜひとも「高いほうがいい」という固定観念にとらわれずに読み進めてほしい。
先に結論から書いてしまうと、会社支給PCの性能が低かったら、24型フルHDが良い。リビングの机を間借りしてたり、テレカンをいっぱいする人も24型程度がオススメ。
運良く会社のノートPCが新しめで、4Kディスプレイ対応のGPUが入っていたら27/32型の4Kディスプレイだ。
まずは27型4Kの「FlexScan EV2785」をポチる
運悪く会社から支給された「Macbook Pro 13(2019)」はUSB Type-Cが2ポートのものだった。電源をつないでディスプレイに接続するだけでポートがすべて埋まってしまう。 外付けのHDMI変換器に給電付きのものを持っているが、ディスプレイ側から給電しないといろいろ不都合があるというので選んだのがこれ。
USB Type-C給電つきなので配線がすっきりする。会議室に行くときにPC外すなどに便利。このためだけに買ってもいいと思った
じつは筆者、去年から目のトラブルを抱えて水晶体交換手術をした。サイボーグっぽいが眼内レンズは多焦点のため光るものがフレアがかかり滲んで見える。 そんな眼でもなかなかくっきり見えるのがこのディスプレイだ。狭い机でもケーブルはシンプルになるし、よく見えるしいいことづくめ。
「FlexScan EV2785」の利点はとにかく目が疲れないこと。細かいパターンもくっきり見えるし、高さも自由に調節できるし、縦型に切り替えもできる。 以前会社で使っていたEIZO 「FlexScan EV2736」のWQHD(2,560×1,440)の27型も非常に良かったが、4Kの画面は広くて快適だ。 オフィスではAppleの5Kなので比較すれば若干狭さを感じるものの、大きな差の感覚はない。
本気を出してカラーキャリブレーションをかければ写真趣味も結構いけるのは前出モデル「FlexScan EV2736」で確認している。
問題は実売10万円を超えてしまう価格で、ちょうど中華IT取材旅行がコロナでキャンセルになったため、その予算を振り向けることができた。個人負担でエイヤで買うには少し勇気のいる値段だ。しかしこのテレワークが短く済んで半年続くとして月間160時間×6カ月使えば1日1,000円だ。 ほかの人達が作業効率おちてるときに、作業を早くこなして10万円以上稼げばいいだけの話だ。 なんならテレワークが終わって使わなくなったあとで売り飛ばして、いくらか回収してもいい。4K動画だってそこそこ見れる。
「Amazon Fire TV Stick 4K」をつないで4Kの動画を観れる
「バーフバリ2」を再生すれば、最初のロゴでテンションはいきなりマックスだ。王を讃えよ!
AMDマニアなら必ず知っている「真の男はファブ(工場)を持つ(Real men have fabs)」という言葉にあるとおり、男の仕事道具の買い物は高くても度胸で勝負だ。
しかし、このディスプレイを筆者が長く使うことはなかった。なぜなら、同居のアネサマが気に入って乗っ取られてしまったからだ。
次は同居アネサマ用のお手頃価格24型フルHD(1,920×1,080ドット) FlexScan EV2451」を買う
結局、「あたしが月末月初処理でいそがしいんだから」と新しく買ったディスプレイとアーロンチェアと机はぶんどられてしまい、筆者はノートの13型画面で立って仕事をすることになった。
これはいけない、自分も結構仕事が多く締め切りが厳しい状況なので、折りたたみ机と「アーロン リマスタード ライト」の椅子に加えセカンドディスプレイとしてEIZOの「FlexScan EV2451」をアネサマに与えるためにポチった。
いつもの「買ってから怒られる作戦」なのだが、よく考えたら新型の22.5型WUXGA(1,920×1,200)「FlexScan EV2360」をポチるべきであった。 買ってから怒られるというよりは、「買ってから反省する(毎度進歩がない)」である。
もう1つこの作戦には副作用があって、翌月のカード引き落とし額がとんでもないことになる。諸刃の剣なので緊急事態以外にはおすすめできない。
勢い余ってポチった「FlexScan EV2451」(手前)
これも比べてしまえば見劣りするのだが、文字の大きさの感覚的には悪くない。表示情報量が少ないのでもう一段上の27型WQHD(2,560×1,440ドット)がほしいのだが、折りたたみの狭い机だとこのサイズが圧迫感なくバランスが良い。
比較してみよう。まずは4K解像度の「FlexScan EV2785」
結論から言うと、データ分析などで一度に数十列分のデータを見渡すようなヘビーな仕事を持っている人にはやはり27型の4Kモデルを勧めたい。「FlexScan EV2785」は自腹で買う価値がある。 筆者が理由をこね回すより、同居人のアネサマが筆者を差し置いて専有しているあたりで結果は出ている。
小さい文字がくっきりしながらも目の疲れは少ない
巨大なExcel表を扱う業務であれば、画面のスイッチ作業だけで時間がとられる。表をスクロールなしで出しっぱなしにしておけるのは時間節約になる。 会社より能率良いのであれば、それに越したことはないのだ。
でっかい非効率極まりないExcel表をこねくり回しているのを遠目に見ると、「それDBとSQLでやるべき仕事じゃないか?」とは思うのだが。
額縁が小さくて、複数人で使う場合にメニュー操作がしにくいのが難点か。ボタン見えないよ
逆に「FlexScan EV2785」のマイナスな部分としては、高解像度の表示で会社支給のノートPCの内蔵GPUでは性能不足のため、画面表示がもたつくのが気になると言っていた。 筆者も私物の「Macbook Pro 15(2019)」だと問題ないが、「Macbook Pro 13(2019)」だとすこし引っかかるものを感じる。会社支給の少し古めのノートPCだと実用的には厳しいかもしれない。
低スペック? いやいやじつはテレカンで便利な利点を持つ「FlexScan EV2451」
事務用と割り切れば、24型でフルHDの「FlexScan EV2451」もそこそこくっきり解像して悪くない。 こちらはメールのコミュニケーションなど、マネージャー業務系や小さい表のExcelの処理であれば問題ないだろう。 なにより3万円台という価格は魅力だ。またフルHD程度の解像度のため、非力なノートPCのGPUでも画面書き換えが十分な速さで行なえる利点がある。
フォントのドットの粗さが見えてしまうのはちょっと残念だが、許容範囲である
そして思わぬ利点は、テレカンでの画面共有の場合だった。4Kディスプレイで画面共有すると、共有画面を見る方の参加者は字が小さすぎて見えにくい。 フルHDくらいの解像度であれば、何も考えずに画面全体をシェアしてしまえば事足りるのだが、4Kだとウィンドウ単位でシェアして、そのウィンドウを小さくするなどの操作が必要になる。
筆者は4Kディスプレイを使っているときにテレカンをはじめるときは、わざわざ外部ディスプレイをとりはずして内蔵13型ディスプレイでテレカンするなど工夫していた。フルHDの解像度であれば画面を見せる相手の画面サイズを深く考えずにテレカンできるのは非常に楽ちんだ。
あとは、軽いので仕事終わってから片付けに運ぶのが楽。リビングの机で働くパパ・ママはこちらのほうがいいいだろう。
サブディスプレイとして、32/27型の横に立てて使うのに24型はちょうどいいかもしれない
両機種の共通の利点としては、高さの調整機能は同じで身体にあわせてぴったり合わせられる。「FlexScan EV2451」は昇降機構が少しガタつくが我慢できる。
両機種ともスピーカー内蔵で音は出るが、まったく使い物にならないとは言わないもののノート内蔵スピーカーのほうが感覚的に良い。電話会議は別記事で紹介したヘッドセットに限る。
レビュー的なものはここまでで、あとは与太話である。
EIZOディスプレイ、安いと言ったらEIZOの営業にビビられた話
メンバーに在宅ワークを指示したマネージャー向けに、これらのディスプレイがどれだけ安いのかエピソードを紹介しよう。
ちなみに筆者はサーバーだけで単純計算で8億円、ディスプレイも4,000万円ほど累計で買っている買い物大魔王である。
広告SRE職時代は、わずか3人で5,000台のサーバーを24時間365日運用させられて健康を害したので、液体窒素も液冷も液浸も含め、もう爆音系漢マシンなんて見たくもない。
サーバーが5,000台もあると、1日3台くらいなんだかんだでトラブるのだ。
当時のオフィス倉庫を埋め尽くすリアル買い物山脈の写真を探したのだが、残念ながら見つからなかった。
5年ちょっと前、筆者はある大手IT企業でマネージャーをしていた。会社は大きな利益をあげているためか従業員の労働生産性にまったく無関心で、エンジニアやデザイナーにまで最安値のディスプレイを支給していた。
デザイン部の部長と話していたとき、「現場で困ってるのが、デザイナーの出す画像が色がおかしいとリーダーと言い合いになることなんですよ。自分のディスプレイではちゃんと色が出てるって」。
そこでピンと来た。Webデザイナーは写真印刷で必須のカラーマネージメントを経験したことがないのだと。 印刷物の制作を経験したことがあれば常識だが、Web制作だとそのそもいい加減なディスプレイのせいで色の管理はてんでんばらばらでも大きな問題にならなかった。 最近はスマホも画質が非常に良くなってきて、色の問題が出てきたと。
早速筆者は予算を立てて、ついでにエンジニア分も含めて650台ほど、総計数千万円分のEIZOのディスプレイ「FlexScan EV2736」を導入。 ついでに色管理をするカラーマネージメントの装置とGPUボードをぶち込んだ。
結果、現場は大喜び。デザイナーごとに発生していた無駄な色合わせレビューの時間も減り、エンジニアも広い画面で作業能率が上がった。 Excelワークをしているメンバーも画面切り替えやスクロールが減って仕事が速くなった。
だいたい1時間削減で開発費用計上額1万円の会計圧縮効果があるので、試算では単年度で軽くお釣りが出る費用回収。いい設備投資だった。
このシチュエーションはテレワークに切り替わるすべての企業で発生すると思う。ノートPCを持って帰っただけでは能率ガタ落ちなのだ。
経営者やマネージャーの方には、椅子/机/ディスプレイ/キーボード等テレワーク準備一時金として社員1名あたり30万円を前倒し投資してほしい。 おそらく数カ月でペイするはずだ。ついでにオフィスの固定席自体を縮小し賃料を大幅圧縮できるてお釣りがくる勘定だ。
一等地のオフィスだったら、1人あたり月8万とかオフィス代がかかっていないだろうか? そこを節約して住宅補助とテレワーク補助に予算を振り向けてほしい。
27型ディスプレイを大量導入してから数カ月後、事例紹介のお願いで製品レビューを求めにEIZOの営業さんが私のところを訪れ、「なんでこんなに台数たくさん買ってくれたんですか?」と尋ねられた。 「それは安いからです」と答えたら、営業さんは「私、EIZOで営業やって30年、はじめて安いと言われました」と驚いていた。
いや、昔のトリニトロン管時代ナナオ(EIZOの旧ブランド)の3分の1の値段なんですが……。
ものの高い安いなどは、経済的合理性があるかどうかだけの話なのだ。そう、いまどきのミッドレンジのディスプレイは性能と費用対効果から言って激安なのだ。値段的にはさらに安いものはあるが、現物見ないでもハズれないだろうから買える安心感というのはブランドならではだろう。
1日7時間も使うものだから、少し高いのを買っても時間で割り算すれば激安なはず。仕事を早く終わらせる工夫をしよう。
ようやく整ったテレワーク環境。しかし筆者自身もびっくりの驚愕のオチ(実話)が
原稿を書いていた翌日の4月13日の月曜朝、早めに仕事をはじめたところ、上司と人事を参加者にした“Urgent Meeting”が朝9時台に設定された。どう考えてもいい話じゃないと予想していたのだが、案の定だった。
「会社の業績が予想よりも悪くなる見通しで、あなたのポジションをクローズする」。つまりレイオフだ。アメリカのニュースによると、筆者の勤務先はコロナウイルスの影響による売上減の予想のため10%の人員削減を行なうことになり、それに筆者が見事に対象になったということだ。 すでに他拠点の同僚はどんどんレイオフ対象になっていたのと、上司との音楽性の違いを感じていたので、自分は驚きこそしなかったが、同居人のほうがショックを受けている感じだった。
ペンネーム「ぴーたん」改め「ぷーたん」爆誕だ。外資系勤務者の宿命とはいえ、世知辛い。
しかしじつは新しいチャレンジをすることにワクワクしている。自宅を警備して、河原でギターの練習をするのだ。
問題は、思い切ってテレワーク用の機材を2セット買った請求がこれからやってくることだ。退職金にあたるパッケージは、経営危機のため相場の3分の1だった。
本格的にテレワーク作業を初めたばかりで会社はさっさとクビにしてくれたので雀の涙ほどの補助すらない。支払いどうしよう。
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