Razer Blade 14
Razerの「Razer Blade 14」(2023年モデル)は、厚みを17.99mmに抑えた薄型筐体に、Ryzen 9 7940HSとGeForce RTX 40を搭載することで、携帯性とパフォーマンスをハイレベルで両立した14型ゲーミングノートだ。
今回は、Razer Blade 14が搭載するAMD最新のモバイル向けCPU「Ryzen 9 7940HS」のパフォーマンスに注目。4nmプロセスで製造されたZen 4ベースのモバイルRyzenがどれほどの性能を実現しているのか確認してみよう。
先進的な4nmプロセスで製造されたモバイル向けCPU「Ryzen 9 7940HS」
Razer Blade 14がCPUに採用しているRyzen 9 7940HSは、AMDの最新CPUアーキテクチャであるZen 4に基づいて、TSMCの4nm FinFETプロセスで製造されたモバイル向けの8コア/16スレッドCPU。内蔵GPUとしてRDNA 3ベースの「Radeon 780M」を搭載するほか、NPU(Neural network Processing Unit)の「Ryzen AI」を備えている。
デスクトップ向けRyzen 7000シリーズをはじめとするほかのZen 4採用CPUが、5nm製の「CPUダイ(CCD)」と6nm製の「I/Oダイ(IOD)」を組み合わせるチップレットアーキテクチャを採用しているのに対し、Ryzen 9 7940HSは全ての機能を統合するモノリシックダイを採用しており、製造プロセスもより先進的なものとなっている。
【表1】Ryzen 9 7940HSの主な仕様と、今回比較するRyzen 7 7800X3Dの比較
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モデルナンバー
| Ryzen 9 7940HS
| Ryzen 7 7800X3D
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CPUアーキテクチャ
| Zen 4
| Zen 4
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製造プロセス
| 4nm
| 5nm CCD + 6nm IOD
|
CPUコア数
| 8
| 8
|
CPUスレッド数
| 16
| 16
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L2キャッシュ
| 8MB
| 8MB
|
L3キャッシュ
| 16MB
| 96MB
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ベースクロック
| 4.0GHz
| 4.2GHz
|
ブーストクロック
| 5.2GHz
| 5.0GHz
|
NPU
| Ryzen AI
| ─
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CPU内蔵GPU (iGPU)
| Radeon 780M
| Radeon Graphics
|
GPUアーキテクチャ
| RDNA 3
| RDNA 2
|
GPUコア数
| 12
| 2
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ストリーミングプロセッサ
| 768基
| 128基
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対応メモリ
| DDR5-5600/LPDDR5x-7500
| DDR5-5200
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PCI Express
| PCIe 4.0
| PCIe 5.0
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TDP
| 35~54W
| 120W
|
TjMAX
| 100℃
| 89℃
|
対応ソケット
| FP7/FP7r2/FP8
| Socket AM5 先述の通り、Ryzen 9 7940HSはAIアクセラレータであるNPU「Ryzen AI」を搭載している。これによって、Webカメラの映像をOSレベルで補正する「Windows Studio Effects」が利用可能となった。 Windows Studio Effectsは、Webカメラの映像を機械学習アルゴリズムによって補正する機能で、自動フレーミングや背景効果、アイコンタクトなどを実現する。この機能の利用にはNPUが必須であるため、Surface Pro 9などの一部機種でしか利用できなかったのだが、Ryzen AIを備えるRyzen 9 7940HSを搭載したRazer Blade 14では利用可能となっている。 Windows Studio Effectsは、クイック設定の「スタジオ効果」などから設定できる。なお、NPU非搭載PCでは項目自体が表示されない NPUによってWebカメラの映像を補正することで、自動フレーミングや背景効果が利用できる Ryzen 9 7940HSを搭載する14型ゲーミングノート「Razer Blade 14」 Razer Blade 14は、Razer Bladeシリーズの中でもっとも携帯性に優れたモデルとされる14型ゲーミングノートで、2023年モデルはRyzen 9 7940HSとGeForce RTX 40シリーズの採用によって、厚さ17.99mmという薄型筐体でありながらも優れた性能を実現した、ゲーマーとクリエイター向けのノートPCだ。 14型ディスプレイのアスペクト比は16:10で、240Hz駆動のWQXGA(QHD+/2,560×1,600ドット)パネルを採用。応答速度3ms未満という高速駆動や、DCI-P3カバー率100%を謳う色再現性など、ゲーマーはもちろんクリエイターにとっても魅力的な表示能力を備えている。 今回テストするRazer Blade 14は、Ryzen 9 7940HSとGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載した上位モデルで、16GB(8GB×2)のDDR5-5600や、1TB NVMe SSDなどを備える。 Razer Blade 14の2023年モデル。今回テストするのは、Ryzen 9 7940HSとGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載した上位モデルだ アルミ削り出しの筐体はマットブラックでカラーリングされている 高性能なゲーミングノートでありながら、本体の厚みを17.99mm、重量も1.84kgに抑えている 14型ディスプレイのアスペクト比は16:10で、240Hz駆動のWQXGA(2,560×1,600ドット)パネルを採用している Ryzen 9 7940HSのCPU-Z実行画面 Radeon 780MのGPU-Z実行画面 GeForce RTX 4070 Laptop GPUのGPU-Z実行画面 今回のテストでは、Ryzen 9 7940HSの性能に注目して検証を行なうため、Razer Blade 14のパフォーマンスモードは最大性能を発揮できるように調整し、ファンの動作モードもフルスピードモードを選択している。 Razer Blade 14のパフォーマンスモードは「カスタマイズ」を選択し、CPU・GPU・冷却ファンの動作を最大に設定した 比較機材には、Zen 4ベースのデスクトップ向け8コア/16スレッドCPUである「Ryzen 7 7800X3D」を用意した。 消費電力や冷却で制限の多いモバイル向けCPUであるRyzen 9 7940HSに対し、より多くの電力消費と強力な冷却が得られるRyzen 7 7800X3Dの方が有利であることを念頭におきつつ、最新鋭モバイル向けCPUがデスクトップ向けCPUにどこまで迫れるのかという点や、デスクトップ向けよりも新しいRDNA 3ベースの内蔵GPU(iGPU)性能がどれほどのものなのかといった点に注目して比較してもらいたい。
【表2】テスト機材
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PC
| Razer Blade 14 (2023)
| デスクトップPC
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パフォーマンスモード
| カスタム(最大設定)
| ─
|
CPU
| Ryzen 9 7940HS
| Ryzen 7 7800X3D
|
コア数/スレッド数
| 8C/16T
| 8C/16T
|
CPU電力リミット
| PPT=54W、PL1=80W、PL2=90W
| PPT=162W
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CPU電流リミット
| TDC=70A、EDC=140A
| TDC=120A、EDC=180A
|
CPU温度リミット
| 100℃
| 89℃
|
マザーボード
| ─
| ASUS TUF GAMING X670E-PLUS
|
メモリ
| DDR5-5600 8GB×2 (46-45-45-90)
| DDR5-5200 16GB×2 (42-42-42-83)
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内蔵GPU(iGPU)
| Radeon 780M
| Radeon Graphics
|
iGPUドライバ
| Adrenaline 22.40.03.45 (31.0.14003.45001)
| Adrenaline 23.7.1 (31.0.21001.45002)
|
単体GPU(dGPU)
| GeForce RTX 4070 Laptop GPU
| ─
|
dGPUドライバ
| GRD 536.40 (31.0.15.3640)
| ─
|
システム用SSD
| 1TB NVMe SSD (PCIe 4.0 x4)
| Samsung 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
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アプリケーション用SSD
| ─
| CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
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CPUクーラー
| Vapor Chamber
| ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
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電源
| 230W ACアダプタ
| 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
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OS
| Windows 11 Home 22H2 (build 22621.1992、VBS有効)
| Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1992、VBS有効)
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電源プラン
| バランス
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室温
| 約25℃ Zen 4ベースのデスクトップ向け8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 7800X3D」 Ryzen 7 7800X3DのiGPU「Radeon Graphics」のGPU-Z実行画面 ベンチマーク結果 それでは、ベンチマークテストの結果をみていこう。 実施したベンチマークテストは、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「やねうら王」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「UL Procyon」、「SiSoftware Sandra」、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク 」、「エーペックスレジェンズ」、「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」。 Cinebench R23 CPUの3DCGレンダリング性能を測定するCinebench R23では、Multi CoreとSingle Coreを実行した。 Multi Coreを最低実行時間10分で実行した結果、Ryzen 9 7940HSはテスト終盤に多少サーマルスロットリングが作動したもののスコアは「17,007」で、Ryzen 7 7800X3Dの「18,025」を6%下回るだけの高いパフォーマンスを発揮した。 Single CoreではRyzen 9 7940HSが「1,801」を記録し、Ryzen 7 7800X3Dの「1,818」とほぼ同程度と言えるところまで肉薄した。Ryzen 9 7940HSが備えるCPUコア自体の性能が、かなり高いことが伺える結果だ。 【グラフ01】Cinebench R23 (R23.200)「Multi Core」 【グラフ02】Cinebench R23 (R23.200)「Single Core」 3DMark「CPU Profile」 スレッド数毎のCPU性能を計測する3DMarkの「CPU Profile」では、両CPUのスコアが同等となった8スレッド以外の条件において、Ryzen 9 7940HSがRyzen 7 7800X3Dをやや上回っている。 Cinebench R23のように長時間負荷を掛け続けるテストではないことと、L3キャッシュ容量があまり影響しないテストであることからRyzen 9 7940HSが優れた性能を発揮したものと考えられるが、時間制限つきとはいえ、14型ノートPCに搭載されたモバイル向けCPUであるRyzen 9 7940HSが、同世代かつ同コア数のデスクトップ向けCPUを凌駕するのは大したものだ。 【グラフ03】3DMark v2.26.8125「CPU Profile」 Blender Benchmark Blender BenchmarkでRyzen 9 7940HSが発揮したパフォーマンスは、Ryzen 7 7800X3Dを9~13%下回っている。 Blender BenchmarkはCinebench R23などと比べると、多少L3キャッシュが影響するテストでもあるので、L3キャッシュが16MBのRyzen 9 7940HSと、その4倍の96MBを備えるRyzen 7 7800X3Dのキャッシュ容量差がパフォーマンス差として表れたものと考えられる。 【グラフ04】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.6.0) 将棋ソフト「やねうら王」 将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。 マルチスレッドテストでは、14,754kNPSを記録したRyzen 9 7940HSが、16,256kNPSのRyzen 7 7800X3D比で9割近い速度を発揮した。 シングルスレッドテストでは、Ryzen 9 7940HSが1,684kNPS、Ryzen 7 7800X3Dが1,695kNPSとほぼ同等の結果を記録した。 【グラフ05】やねうら王 v7.61「マルチスレッド (bench 128 nT 19)」 【グラフ06】やねうら王 v7.61「シングルスレッド (bench 128 1 19)」 動画エンコードソフト「HandBrake」 オープンソースの動画エンコードソフト「HandBrake」では、4K(2160p)の動画ソースをCreatorプリセットでエンコードして処理速度を比較した。 Ryzen 9 7940HSのエンコード速度は、1080pへの変換で約13%、2160pへの変換で約10%、それぞれRyzen 7 7800X3Dを下回った。デスクトップ向けCPUの9割程度の性能を発揮していると考えれば十分に優秀な結果であると言えるが、Blender Benchmarkと同じようにL3キャッシュ容量の差が効いているものと考えられる。 【グラフ07】HandBrake v1.6.1 動画エンコードソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」 動画エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7では、4K(2160p)のソース動画をH.264形式とH.265形式に変換した際のエンコード速度を計測した。 Ryzen 9 7940HSは、H.264形式への変換で12~14%、H.265形式への変換で8~12%、それぞれRyzen 7 7800X3Dを下回った。エンコーダの違いによって処理速度に多少の違いはあるが、HandBrakeでのテスト結果と似たような結果だ。 【グラフ08】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.28.31)「H.264形式へのエンコード」 【グラフ09】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.28.31)「H.265形式へのエンコード」 PCMark 10 PCMark 10では、もっとも詳細なテストである「PCMark 10 Extended」を実行した。 Ryzen 9 7940HSの総合スコアは10,297で、Ryzen 7 7800X3Dの4,901を大きく上回っているが、これはGPU性能の違いによるものなのでCPU性能の差が反映されたものではない。実際、GPU性能が影響するDigital Content CreationやGamingで、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを利用できるRyzen 9 7940HSがRyzen 7 7800X3Dを圧倒している。 GPU性能の影響が薄いテストでのRyzen 9 7940HSは、Essentialsで約8%、Productivityで約5%、それぞれRyzen 7 7800X3Dを下回っている。 【グラフ10】PCMark 10 Extended (v2.1.2600) UL Procyon「AI Inference Benchmark for Windows」 AI性能を計測するUL Procyonの「AI Inference Benchmark for Windows」では、Precisionの設定を「float32」と「integer」に設定した際のCPUテストを実行した。 Ryzen 9 7940HSのスコアはfloat32が「124」、integerが「177」で、Ryzen 7 7800X3Dを18~19%下回った。現状、UL ProcyonではRyzen 9 7940HSが搭載するNPU「Ryzen AI」の性能を計測することはできないため、この差はNPU抜きのCPU性能の差によって生じたものだ。 【グラフ11】UL Procyon v2.5.829「AI Inference Benchmark for Windows」 SiSoftware Sandra 「CPUベンチマーク」 SiSoftware SandraのCPUテストから、「Arithmetic」、「Multi-Media」、「Image Processing」の結果を紹介する。 これらのテストではRyzen 9 7940HSがRyzen 7 7800X3Dとほぼ同程度の結果を記録しているものが多く、特にArithmeticとMulti-Mediaは僅差だ。Ryzen 9 7940HSのCPUコアの性能自体は、デスクトップ向けのRyzen 7 7800X3Dと遜色ないものであることを再確認できる結果だ。 一方、画像処理性能を計測するImage Processingでは、BlurやDiffusionでRyzen 7 7800X3Dに大差をつけられている。これらのテストはL3キャッシュが比較的効果を発揮するテストであり、両CPUに存在する4倍のキャッシュ容量差が効いているものと考えられる。 【グラフ12】SiSoftware Sandra v31.119 「Processor Arithmetic (プロセッサの性能)」 【グラフ13】SiSoftware Sandra v31.119 「Processor Multi-Media (マルチメディア処理)」 【グラフ14】SiSoftware Sandra v31.119 「Processor Image Processing (画像処理)」 SiSoftware Sandra「メモリベンチマーク」 SiSoftware Sandraで、メインメモリの帯域幅とレイテンシの計測を行なった。 DDR5-5600メモリを搭載するRyzen 9 7940HSのメモリ帯域幅は45.00GB/sで、DDR5-5200メモリを搭載したRyzen 7 7800X3Dの50.00GB/sを下回っている。搭載しているメモリスピード的にはRyzen 9 7940HSの方が有利なのだが、両環境ではメモリ容量が違っており、チップ構成の違いが帯域幅に影響しているものと考えられる。 メモリレイテンシについては、Ryzen 9 7940HSが74.6ns(ナノ秒)で、Ryzen 7 7800X3Dの68.7nsよりやや大きかった。 【グラフ15】SiSoftware Sandra v31.119 「Memory Bandwidth (メモリ帯域幅)」 【グラフ16】SiSoftware Sandra v31.119 「Cache & Memory Latency (メモリレイテンシ)」 SiSoftware Sandra「キャッシュベンチマーク」 CPU内蔵キャッシュのレイテンシや帯域幅を測定した結果が以下のグラフだ。 L3キャッシュ容量が16MBのRyzen 9 7940HSは、テストサイズが16MB以上になると帯域幅の減少やレイテンシの増加が確認できる。 Ryzen 9 7940HSの16MBというL3キャッシュ容量は、3D V-Cacheでキャッシュ容量を増強しているRyzen 7 7800X3Dの4分の1であるだけでなく、3D V-Cache非搭載のデスクトップ向けRyzen 7000シリーズが1基のCCDに備える32MBのL3キャッシュの半分なので、L3キャッシュが特に効果を発揮するシチュエーションでは不利になる場合もあるだろう。 【グラフ17】SiSoftware Sandra v31.119 「Cache & Memory Latency (レイテンシ)」 【グラフ18】SiSoftware Sandra v31.119 「Cache & Memory Latency (クロック)」 【グラフ19】SiSoftware Sandra v31.119 「Cache Bandwidth」 3DMark ここからは、GPU性能を計測するベンチマークテストやゲームでのパフォーマンスを確認していく。テストでは、Ryzen 9 7940HSのiGPU「Radeon 780M」、Razer Blade 14のdGPU「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」、Ryzen 7 7800X3DのiGPU「Radeon Graphics」のスコアを比較する。 まずは、3DMarkで実行した「Speed Way」、「Port Royal」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」の結果からみていこう。 Speed WayではRyzen 7 7800X3Dがテストを完走できなかったが、Ryzen 9 7940HSのiGPUは「338」を記録し、「2,882」を記録したGeForce RTX 4070 Laptop GPUを88%も下回った。他のテストでも73~81%下回っており、さすがに最新鋭のハイスペックGPUであるGeForce RTX 4070 Laptop GPUとの差は大きいようだ。 一方、Ryzen 7 7800X3DのiGPUとの比較では、Ryzen 9 7940HSが343~569%という圧倒的な差で上回っている。同じiGPUとはいえ、RDNA 2ベースで2CUのRyzen 7 7800X3Dと、RDNA 3ベースで12CUのRyzen 9 7940HSではGPUコアの規模が全く異なっており、Ryzen 9 7940HSのRadeon 780Mの方が明らかに強力なGPUであると言える。 【グラフ20】3DMark v2.26.8125「Speed Way」 【グラフ21】3DMark v2.26.8125「Port Royal」 【グラフ22】3DMark v2.26.8125「Time Spy」 【グラフ23】3DMark v2.26.8125「Fire Strike」 【グラフ24】3DMark v2.26.8125「Wild Life/Wild Life Extreme」 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」にして、フルHDとWQXGA解像度でテストを実行した。 Ryzen 9 7940HSのiGPUは、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを74~81%下回る一方、Ryzen 7 7800X3DのiGPUを223~285%上回っている。 WQXGAでも平均100fpsを超えるGeForce RTX 4070 Laptop GPUのパフォーマンスが優秀なのはもちろんだが、フルHDで36.3fpsを記録しているRyzen 9 7940HSのiGPUも描画品質を多少妥協すれば、ゲームをプレイするのに十分なパフォーマンスが得られそうに見える。 【グラフ25】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」 【グラフ26】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」 BLUE PROTOCOL ベンチマーク BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、描画品質を「最高画質」にして、フルHDとWQXGA解像度でテストを実行した。 Ryzen 9 7940HSのiGPUが記録したスコアは、GeForce RTX 4070 Laptop GPUを77~78%下回る一方、Ryzen 7 7800X3DのiGPUを262~279%上回っている。 最高画質設定とはいえ、フルHDでの平均フレームレートが10fpsを割り込むRyzen 7 7800X3DのiGPUと比べると、同条件で平均30fpsを上回るRyzen 9 7940HSのRadeon 780Mからは、ある程度ゲームをプレイできる可能性が感じられる。 【グラフ27】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「スコア」 【グラフ28】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「平均フレームレート」 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「平均フレームレート」 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、描画設定を「HIGHEST」にして、フルHD解像度でテストを実行した。 GeForce RTX 4070 Laptop GPUは60fpsが上限のFIGHTING GROUNDで59.9fps、120fpsが条件の他のシーンでも100fps超えの平均フレームレートを記録しており、ベンチマーク評価は100点満点中100点を記録していた。 Ryzen 9 7940HSのiGPUであるRadeon 780Mは全シーンで30fps前後の平均フレームレートとなっており、快適なプレイには画質の妥協が必要だった。それでも、Ryzen 7 7800X3DのiGPUを301~339%も上回っており、iGPUとしては相当に高性能であることが分かる。 【グラフ29】STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「平均フレームレート」 エーペックスレジェンズ エーペックスレジェンズでは、描画品質を可能な限り高く設定して、フルHDとWQXGA解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。 GeForce RTX 4070 Laptop GPUは、フルHDで217.7fps、WQXGAでも159.6fpsという平均フレームレート記録。Razer Blade 14の240Hz駆動のディスプレイとの組み合わせによる滑らかで高速な表示でゲームを楽しめる。 Ryzen 9 7940HSのiGPUは、フルHDで53.5fpsを記録している。快適なプレイの為に十分な性能と言うほどではないが、描画品質を調整する余地は十分にあるので、60fps以上を狙うのは難しくないだろう。 【グラフ30】エーペックスレジェンズ (v3.0.36.26) モンスターハンターライズ:サンブレイク モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、描画品質を「高」にして、フルHDとWQXGA解像度でフレームレートを計測した。 GeForce RTX 4070 Laptop GPUの平均フレームレートは、フルHDで135.8fps、WQXGAは119.1fps。Razer Blade 14のディスプレイは60~240Hzの範囲でFreeSyncが利用できるので、破綻の少ない滑らかな映像でモンスターハンターライズ:サンブレイクをプレイできる。 Ryzen 9 7940HSのiGPUもフルHDで平均35.9fpsを記録しているので、この条件ならプレイすることは可能ではある。60fpsを目指すにはそれなりに画質を妥協する必要はあるが、フルHDで15.3fpsしか出せていないRyzen 7 7800X3DのiGPUとは一線を画する性能があることは間違いない。 【グラフ31】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v16.0.1.0) モバイルゲーミングノートにデスクトップ級のパワーをもたらすRyzen 9 7940HS Ryzen 9 7940HSを搭載したRazer Blade 14は、パフォーマンスモードを最大に引き上げることによって、デスクトップ向けの最新CPUであるRyzen 7 7800X3Dに近いCPU性能を得ることができた。 CPUからこれだけの性能を引き出せるRazer Blade 14の設計も大したものだが、モバイル性を重視した薄型ゲーミングノートでこれだけのCPU性能が得られるのは、4nmで製造されたRyzen 9 7940HSが高効率なCPUであればこそだろう。 GeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載するRazer Blade 14にとってはさほど重要ではないが、Ryzen 9 7940HSが備えるiGPU性能もなかなか優秀だった。デスクトップ向けRyzen 7000シリーズなどに搭載されているRDNA 2ベースのiGPUとは一線を画する性能を実現しており、これを活かしたモバイルノートやミニPCにも期待したい。
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